(設立趣意書全文〔PDF〕)
科学技術、産業技術が主導する経営戦略の進展を図る
私達は今、未曾有の大変革期と言われる21世紀の初頭に立っています。それはまた、地球規模の 未来を展望した時、ミレニアム2000年代の初頭でもあります。その前夜、20世紀の最後の20年間に、 私達は将来への最大の教訓とすべき、貴重な体験をしました。1980年代の、世界における日本の急 膨脹に対して、1990年代の米国の総力を挙げた復権と、それと対照的な日本の「失われた10年」 と言われる長期間に及ぶ停滞であります。
そして、日本は、バブル崩壊と国際競争力の凋落を克服して、最近ようやく、21世紀の世界の中での 日本の方向を明確に定め、大きく進み始めました。
日本型MOTの開花
その方向とは、持続的な高い経済成長を長期的に達成するために、産業、企業を中心に、絶え間な い、しかも、世界の最先端を走るイノベーションを、広範囲に、かつ活発に展開することであります。 「科学技術立国」、「イノベーション立国」の重要性が、改めて強調される所以ですが、その基本戦略と して、最近、新しい「日本型MOT戦略」が非常に注目を集めています。
90年代の「米国の復権戦略」と、80年代までの「日本的経営」の強さを融合させた新経営戦略のうね りです。日本は「失われた10年」を経験したからこそ、将来へのイノベーションに必要な知見を蓄積する ことができ、その知見を基盤として、世界をリードする「日本型MOT戦略」が開花しようとしているのだと 言えます。
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MOT戦略で日本のリーダーシップを発揮
世界は、中国をはじめとするBRICs諸国などの台頭と経済ブロック化が急進展し、環境・エネルギー 問題がますます重視される中で、「技術」は、流通、ソフト・サービス、知的財産権までも包含して、広義 化する一方です。この背景には、インターネットや携帯電話などITの普及によって、消費者・生活者が 能動的にディア発信をするようになり、グローバルなネットワーク社会が形成されており、政府、企業、 大学など社会を構成する組織体が消費者・生活者と直結して活動しているという革命的な変化があります。
そのため、これからの世界と日本を俯瞰した時、こうした消費者・生活者の急激な変容に注目した、「生活ビジョン」に対する研究と対応といった戦略視点も求められてくるでしょう。1980年代の「日本の 成功」を体系化する努力を怠ったため、20世紀の最後に体験した、国際競争における「日本の増長と、 米国の逆転」というドラマチックな展開を二度と繰り返さないためにも、日本がこれから、絶えず世界の 先頭集団に位置しながら、「日本型MOT戦略」を通じて、「日本発」のリーダーシップを世界に発揮し ていけるようにすることが、私達の共通した念願です。
平成21年3月2日
設立発起人一同