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第3回政策首脳懇談会を開催(2011年11月9日)

当協会は、2010年11月9日(火)午前8時〜9時30分、東京・内幸町の帝国ホテル『鶴の間』において、鳩山由紀夫前内閣総理大臣を招き、第3回政策首脳懇談会を開催した。鳩山前首相は理工系出身で、専攻はMOTの草分けである。首相時に快諾を得たが、政局変化のため遅れた。鳩山前首相は、@「科学技術」こそ日本の資源、A科学技術は本来No.1が目標、Bライフサイエンス、グリーンテクノロジーが新成長戦略の主柱、C「国際標準化」と「知的財産」を一体運営、D最先端技術の官民外交が使命 - - などを強調した。
その後、出席した協会幹部全員が順番に提案や要望を述べた。鳩山前首相は、メモを取りながら聞き、「皆様方からのご提言を頂いたことを、言葉ではなく、実行する段階にあると思っている。今後とも実行する姿を、また背中を押して頂ければと思っている。貴重なご意見を頂きましたこと、改めて感謝を申し上げたい」と結んだ。


政策首脳懇談会の座席図(帝国ホテル・鶴の間)

鳩山前首相
講  演

日本の活路と科学技術政策を語る

日本MOT振興協会の皆様方にこのように、お招きを頂き、心から感謝申し上げたい。
伺いますと前回講師の大畠経済産業大臣(現在)から、次は鳩山を呼べという指名があったと聞く。その時はまだ総理をやっていた時ではないかと思うが、総理職は辞してしまったこと、大変不徳の致すところで、お詫びしたい。
会長はじめ皆様方は、むしろ、私よりはるかに色々な意味で通じておられる先輩方、先生方であり、今日はご指導、ご意見を頂けたらと思っている。

まずは大変尊敬しております有馬会長がこの度、文化勲章を受章されたことを心からお祝い申し上げたい。

理工系の人間がもっと国の中枢で仕事すべき

今回の菅直人総理大臣の下で、大畠経産大臣が誕生した。私にとっては嬉しいことだ。菅総理も理工系出身で、理系の出身が二人内閣の中にいるということも、余り多くない話である。理工系の人間がもっと、国の中枢に、政策に携わるような仕事に就くべきだと思っている。
理工系出身であればこそ、これからの日本の進路は「科学技術というものを、日本の最大の資源とすべきだ」ということは言うまでもない。

贅肉をすり減らすための事業仕分け

私どもが政権を取った時の一番大きなテーマが、国の無駄遣いをできるだけ削減しようということだった。これは私どもというよりも、国民の皆様の期待でもある。1党が長く政権を担うと、必ずしも必要でもないところに予算が付いてしまう。
贅肉をできるだけ、すり減らせというのが至上命題であった。従いまして事業仕分けを行い、官に対して民がしっかりと監視をしていく中で、予算の在り方、無駄遣いというのをできるだけ削減すべきだという思いで努力をした。

No.1でなければサイエンスではない

科学技術に対して「一番でなくてはいけないのか、どうして二番じゃいけないのか」と。とても信じられない発言が出てしまった。科学技術を研究している方からすれば、自分にしかできない仕事を、自分が世界の中で先駆けて行うのだという強い意欲で行動されているわけで、当然No.1でなければサイエンスではない。「なぜNo.1でなければならないのか」という根源的な問いかけは、根源的に間違っていた。内閣の総意ではないし、今でもそのような考えであるわけではない。
有馬会長のお話を伺いながらも思ったが、科学技術や教育についての予算が必ずしも、他国に比べて多くない。先進国の中では最低レベルであることが、日本の発展の将来を非常に暗くさせてしまいかねない。
無駄遣いがないかという話になると、すぐに結果が出ないことには少し削っても良いのではないかとか、日本の安全保障は武力ではないので、国力はまさに科学技術であり、文化、教育力であらねばならないところ、そこに逆にメスが入って、予算が切られている現実は非常に大きな問題を抱えている。

ライフサイエンスとグリーンテクノロジーの分野を伸ばす

政権交代をした暁で申し上げたのは、経済一辺倒でこの国はやってきたが、経済力だけが日本の国力、あるいは世界の国力だとは必ずしも思ってなく、「文化力」の方がはるかに貴重だ。経済がなかなか成長しない状況の中で、もっと経済に新しい芽を、成長の分野を作り上げたいという気持は、国民の総意の中にもある。
そこで、私どもとして一つにはライフサイエンスの分野、もう一つはグリーン・テクノロジーの分野、この二つのイノベーションを大きく伸ばしていくことが重要だということを、新成長戦略の中で強調してきた。

ライフサイエンスをもっと大きく育てることが大事

 ライフサイエンス、これはバイオなども含めた医療の分野で、特に高齢化時代、少子高齢化と言われて久しく、この高齢化の時代にふさわしい。むしろご高齢の方々が、日本に住んでいることで、幸せをもっと満喫していただけるような状況を作るための分野として、ライフサイエンスをもっと大きく育てることが大事ではないかというのが一つと、もう一つは世界の流れの中で気候変動問題である。私も総理になって5日目に国連で演説をして、90年比25%削減を誓わせて頂いた。

写真
「科学技術というものを、日本の最大の資源とすべきだ」と話す、鳩山元首相



【前内閣総理大臣・衆議院議員
 鳩山由紀夫氏の略歴】

(2011年11月現在)
生年月日:昭和22年(1947年)2月11日(63歳)
出身地:東京都
略 歴:1969年に東京大学工学部計数工学科卒業、1976年にスタンフォード大学工学部博士課程修了、1976年に東京工業大学経営工学科助手、1981年に専修大学経営学部助教授、1984年に元参議院議員鳩山威一郎秘書
政 歴:1986年に衆議院議員初当選(現在8期目)、1990年に北海道開発政務次官就任、1993年に自民党を離党し新党さきがけを結党、1994年に新党さきがけ代表幹事就任、1996年に新党さきがけを離党(旧)民主党を結党・菅直人氏とともに代表就任、1998年民主党結党(菅直人代表)幹事長代表就任、1999年に民主党代表就任、2005年民主党幹事長就任(前原誠司代表)、2009年5月に民主党代表就任、9月に第93代内閣総理大臣就任(2010年6月辞任)

写真 事業仕分けで「科学技術に対して『一番でなくてはいけないのか、どうして二番じゃいけないのか』との発言が出てしまった」ことに対して、「反省している」と語る鳩山前首相

「知的財産推進計画2010」

 私がやめる10日位前に、いわゆる「知的財産推進計画2010」というものを作った。
 新成長戦略を分野にしながら、先端の技術に関しては国際標準の争いが非常に激化してきており、国際標準化の特定戦略分野で7つの分野を指定した。日本で育て、国際的にリード役を示す姿が大事である。
 (1)先端医療の分野、(2)浄水道、下水道の技術、(3)鉄道における国際標準、(4)次世代自動車、(5)スマート・グリッド(エネルギーマネジメント)、(6)ロボット、(7)コンテンツメディアの分野である。

技術における国際標準化にいかに戦うか

 日本が国際標準化を獲得していく手段を考えていくと、いつもアメリカと協力をして、ヨーロッパと戦った方が良いという発想になっている。例えば環境エネルギーを見ると、環境産業であれば、アメリカよりもEUの方が進んでいる。EUを敵に回して戦うのは、難しい。EUと組んで、アメリカや中国と戦って勝利をおさめた方が望ましいと思う。

日中関係を大事にする

 日中関係の今日を考えた時に、日中関係がおかしいから、政治的におかしいから、経済的にももう引こうじゃないかとか、ちょっと危ないから待ったを掛けておこうというのは、得策ではないと思う。こういう時だからこそ、経済的に不利な関係を作ってしまわない方が良いのではないかと思う。日本の製鉄所すべてを足しても上回ってしまうような能力を持つ工場を中国だけで開発させるよりも、日中で協力していった方が、むしろ戦略的にも将来的にもプラスではないか。

ベトナムの原子力、レアアース開発で実績を上げる

 もう一点は、これはいわゆるASEAN首脳会議で菅首相が先月末にベトナムを訪れるその1週間前に参りました。前首相と科学技術担当大臣、交通大臣とか、天然資源環境大臣とか、商工大臣とか、4人の大臣にお会いした。特に自民党時代から続いている日本とベトナムの良好な関係を肌で感じながら、しかし、多少、暗礁に乗り上げていたのがレアアースの問題で、レアアースについては、事前に伺っていた方向とは逆で、探査から最後の売り歩くところまで日本と協力してやろうということになった。原子力は、最初の2基はロシアに取られたが、3基目、4基目、いわゆる2つ目のサイトに関しては、日本が受注することを両首相の間で決めることが出来た。
結果として、鳩山のベトナム訪問団が来たお陰でここまで、レアアースのところまでうまくいったと、向こうの方から話をしてくれたということは、大変、私にとっても行って良かったなと思っている。こういう売り込みを、国をあげて、官民あげて、一体となって行動することの必要性を痛感したところである。

国際関係は信頼関係の構築が重要になる

菅総理になってから、外交の直接的な発言がかなり先方を刺激している。ツイッターに最近吉野弘の「祝婚歌」という歌が書かれている。「正しいことを言う時は少し控えめにするほうがいい」という1節がある。正しい主張は「不法占拠だ」と皆が思う。しかし、4島を返してもらおうとするならば、相手との信頼関係が前提になければ、進める話にはならなくなる。今回心配しているのは、そのような信頼関係が余り構築されていない中で、控えめでない言葉が中国にも、ロシアにも伝わっている。話にならんぞと思われてしまうと問題だ。
特に科学技術、色んな意味で協力をこれから深めていきたいと思うし、そういう国々との協力を深めるべきだと思う。私としての役割があるとすれば、そういった国々との信頼関係をもう一度構築させて頂くための役割を演じることが大切であると感じている。


有馬会長「海外での積極発言と信頼を感謝」

鳩山前首相からの講演後、有馬会長は「自分自身は自民党に属しておりましたけれど、その時代にどうしてもできなかったことを、鳩山総理がおやりになったことを感謝申し上げる。その一つがベトナムに行かれるとか、インドに行かれるとか、中国に積極的に行かれて、外国の方で日本に対する信頼感が増したと思う。原子力、新幹線等々に関しまして、積極的に海外で発言なされた」と御礼を述べた。

第3回政策首脳懇談会 出席者
来賓・講師 鳩山由紀夫
(前内閣総理大臣・衆議院議員)  
(随行) 芳賀大輔(秘書)
協会幹部  
会 長 有馬朗人(武蔵学園学園長)
最高顧問 鶴田卓彦(日本経済新聞社・元社長)
諮問委員 木村節(リビア国経済・社会開発基金顧問)
  木村文彦(法政大学教授)
  小坂満隆(北陸先端科学技術大学院大学教授)
  小島明 (日本経済研究センター研究顧問)
  畑村洋太郎(工学院大学教授)
副 会 長 安西祐一郎(慶応義塾学事顧問・教授)
  小林陽太郎(富士ゼロックス元会長 代理 齋藤潔)
  近藤史朗(リコー社長 代理 國井秀子)
  高津浩明(東京電力常務取締役)
  野田豊範(東海旅客鉄道副社長 代理 小菅俊一)
  松本正義(住友電気工業社長 代理 吉海正憲)
  薬師寺泰蔵(世界平和研究所研究顧問)
専務理事 橋田忠明(日本経済新聞社・社友)
理  事 秋元浩(知的財産戦略ネットワーク社長)
  荒井寿光(東京中小企業投資育成社長)
  石田寛人(金沢学院大学名誉学長)
  片山卓也(北陸先端科学技術大学院大学学長 代理 小坂満隆)
  加藤幹之(インテレクチュアル・ベンチャーズ日本総代表)
  榊原定征(東レ会長 代理 岡田武彦)
  塚本桓世(東京理科大学理事長 代理 石田正泰)
  則久芳行(三井住友建設社長 代理 河野豊輝)
設立発起 中村道治(日立製作所取締役)
人など 藤本隆宏(東京大学大学院教授)
  渡辺修(石油資源開発社長)
監  事 清水喜彦(三井住友銀行専務 代理 小野直樹)
事務局長 小平和一朗(イー・ブランド21社長)

写真 「原子力は、3基目、4基目、いわゆる2つ目のサイトに関しては、日本が受注することを両首相の間で決めることが出来た」と話す、鳩山前首相

写真 「その時代にどうしてもできなかったことを、鳩山総理がおやりになったことを感謝申し上げる。そのお蔭で、外国の方で日本に対する信頼感が増したと思う 」と話す有馬会長

協会役員との意見交流

 「自己紹介を含めお一人1分をメドにお話し頂きたい」との司会で、参加者全員から意見が出された。

成長戦略の柱は科学技術の振興

鶴田卓彦:日本は、政治も経済も閉塞感に陥っている。民主党、色んなところに手をつけて進んできたが、経済的にも政治的にも国際的な地位が後退している。例えば、GDPが中国に抜かれてしまった。成長戦略の柱は科学技術の振興だ。大きく前面に出すべきだと思う。内閣の支持率が落ちていることもあり、政界再編成ということを考えないといけないと思う。

新興国との競争には政治の力が必要

渡辺修:リーマンショック後、中国、インドなどの発展途上国が台頭している。新興国は政官民一体になって物事を進めており、新しい競争社会が世界に出来ている。日本がそういった国に対抗して競争力を持とうと思うと、やっぱりその政官民、国民の総力を再結集させることが、必要だと思う。劣化し始めると、相互に批判し合う。そこを再結集させるのは政治の力だと思う。

技術開発も官民一体となって進める

高津浩明:ベトナムの件では、原子力のことで官民一体進出ということで、鳩山前首相にはご尽力を頂き、ありがたく思っている。海外に出るには、鳩山前首相がおっしゃられたように、信頼関係ということになると思う。今後、技術開発でも、官民一体となって、色々と進めていかないといけないと思う。

「研究開発が大事か」の説明が不足

石田寛人:仕分けの席でああいう発言が出たのは「どうして1位でなければならないか」という理由を引き出すための話であって、私も仕分けの席におりましたが、なかなか上手く言えないところがある。自分の研究開発テーマが大事かということを世の中に対してきちんと説明する努力が不足していた。原子力は、海外展開、非常に大事だと思っており、国内の足腰、若干弱ってきている。この協会でも議論を深めたい。

有馬朗人会長:原子力の問題で一番問題は大学の教育。しっかりしないと電気、電子も危ない。

人材とグローバル化と新しいビジネスモデル

吉海正憲(松本正義住友電気工業会長の代理) :私ども企業の活動は、大きな課題に直面している。これはかなり共通項だと思う。これを乗り越えるためには3つのキーワードがある。それは、人材とグローバル化と新しい事業モデル、ビジネスモデルの3つ。これは税制その他色々なものが関わる。これは企業という活動の現場と、国政というレベル、両方で並行して検証していかなければならない。

失敗知識データベース個人で立ち上げ

畑村洋太郎:10年やってきた失敗知識データベースはもう来年の3月で突如終わりになる。これまで10年で10億くらいのお金をかけてやってきた。今は年間3千万のお金でやっているが、JSTはもう出せないという。全部作り直しの準備をしていて、来年の4月からは個人でやろうと思う。国がやるのと個人でやることの差を考えずに、それを止めてしまう話はすごいなと思う。

天然資源は後進国、政府支援が必要

木村節:今の若者の理科離れ、科学技術離れが問題だ。苦労を重ねても余り評価してもらえない。科学者になるのは損だという観念を植え付けてしまった。
 科学技術が日本の貴重な資源と言われたが、先立つものが地下に眠っている資源であり、眠っているのは後進国にある。後進国との対応は民間の力では限度があり、ほとんどが首脳外交で決まっている。

知的財産戦略、制度・方針づくりから実行に移す

石田正泰(塚本恒世東京理科大学理事長の代理) :知的財産に関する施策は、小泉総理の時代に革命的に形は作ってくれた。方針や制度づくりは、完結しているが、鳩山内閣になって4人の技術系の大臣が生まれて、違いは何かが見えていない。制度や方針づくりについてはスタートした。しからば、鳩山首相になって民主党が知的財産戦略について、制度、方針づくりから実行することであると思う。

サービス化の推進で製造業のイノベーション

小坂満隆:サービス・イノベーションは、実はサービスではなくて、製造業のイノベーションにとって重要である。ものづくりの技術だけではなくて、それをどう生かしていくかの技術開発の強化をしていきたい。そこに国としても力を入れて頂きたい。産学連携、文理融合、横断的な技術、こうした点の強化をお願いしたい。

日本企業の成長にグローバルな展開は欠かせない

小野直樹(清水喜彦三井住友銀行専務の代理) :資金の方から日本経済を考えると、日本のメガバンクの国内の貸し出しは頭打ちの状態である。一方、海外での資金需要が倍増している。全世界では年間3兆円のインフラの投資が計画されていて、日本企業が成長するにはグローバルな展開は欠かせない。経済産業省の「インフラシステム輸出部会」に当行の奥頭取が委員として入っている。政官民一体の取り組みが重要である。

米国に比べグローバルな事業化で見劣り

秋元浩:知的財産戦略ネットワークの社長をしている。幣社には産業革新機構の中に知財ファンドというミッションがある。ここでライフサイエンスの技術、知財、事業化の判断をしている。研究成果は、アメリカに比べて3倍位コスト・パフォーマンスは良いが、知財と、グローバルな事業化の展開の面で見劣りがする。研究成果を何とか、世界に出していきたい。

ものづくりの現場を残す取り組み

藤本隆宏:東京大学でものづくり経営研究センターをやっている。工場の現場のベテランの方々に、現場の先生になってもらう。70名ばかり卒業生がいて、群馬県と滋賀県で地域インストラクタースクールをやっている。政府、自治体の助成が全く不足しており、10年後の現場が心配だ。ものづくりをやる設計現場、生産現場が作れるかが心配だ。それには人づくりが大事だ。

日本が強いのは科学技術外交

薬師寺泰蔵:外交は、総理お分かりのように資源が必要である。日本が今強いのは科学技術である。自然科学、ものづくりで、日本は強い。その資源を使って「科学技術外交」という新政策を前政権の時に作り上げた。是非、民主党でもこれを伸ばして、鳩山前総理や菅総理のところで実効をあげてやって頂きたい。

米、独に比べ、日本が遅れ、外れている

小島明:今世界中が新しい重商主義になっている。産業政策の競争をやっている。その中には国家資本主義的な面がある。リーマン・ショックの後、日本がアメリカから批判されたことを積極的にやっている。知財戦略7項目の半分以上は、リーマン・ショックの後、アメリカ、ドイツが実行している。そして、日本が遅れている。時代の大きな転換に遅れ、外れている。実行して欲しい。

世界ランキング94位、女性の活用で遅れている

國井秀子(近藤史朗リコー社長の代理) :日本における人材で、多様性、特に女性の活用がある。鳩山政権では福島瑞穂さんが熱心に推進されたが、今だに日本はグローバル・ジェンダー・ギャップの世界ランキングで94位という極めて最低で、女性の活躍できる場を作ることが非常に遅れている。このところを推進して頂きたいと思う。

建設業界はインフラ整備に不可欠な業界

河野豊輝(則久芳行三井住友建設社長の代理) : 「コンクリートから人へ」というフレーズが一人歩きしている。私は、ウエート・シフトの問題だろうと理解している。まさにコンクリートは、建設業界における技術の象徴で、構造機械としても先進的な環境に良いものになっている。私ども建設業界は、国際競争力を強化していく観点から、社会インフラ整備に不可欠な業界で、技術力を総合的に発揮できる業界である。

クラウド、知財制度の見直し、作り直しをする

加藤幹之:クラウドは、情報とかデータをネットワークで自由に流せる、取れる。情報やデータを自由に流せる、国際的にも流通すると同時にそれを安全に管理するバランスが重要となる。知財制度をもう一度見直して、作り直して、日本にデータセンターを持つのが良いということにして頂ければ、科学技術が益々発展するし、日本の産業もビジネスチャンスを持つ。

国内産業の維持に対し、イコールフィッティング

岡田武彦(榊原定征東レ会長の代理):日本及び各企業が世界に出て行かなければならない。その時に、国内産業の維持ということに対して、もっと政府として配慮して頂きたい。そのためにはイコールフィッティング、税金の問題ですとか、科学技術の支援ですとか、それ以外の種々の支援の問題に、しっかり目を向けて頂いて、イコールフィッティングの状態ができるようにお願いしたい。

世界のエンジニアが集う国際都市

小平和一朗:21世紀以降も、ものづくりで世界をリードすべきだ。ものづくりに関する世界に向けての情報発信基地の建設や、世界の知的財産が集積する仕掛けづくりが必要だ。それは、利潤を自ら生み出す自立型のシステムにする。世界のエンジニアや研究者が集う文化の香りがする、そこに生活することが誇りとなる国際都市の建設、22世紀に向けて、100年かけて建設に取り組むべきだ。

日本の国の産業構造はバラバラ過ぎる

小菅俊一(野田豊範東海旅客鉄道副社長の代理) :JR東海で鉄道やリニアの海外輸出を担当している。官民一体というが官は1つであるが、民は沢山ある。フランスやドイツ、カナダは、官と民が一つずつ付いてきて、それで売り込みに来る。ところが日本は、民が沢山あってチームを組まなければならない。日本の国の産業構造そのものが、世界に出ようとすると、バラバラ過ぎる。国として調整して頂ければと思う。

科学技術の司令塔をもっと強化

中村道治:国の科学技術の司令塔をもっと強化して頂きたい。鳩山前総理は科学技術戦略本部的なものを将来格上げした形で作ると言っていたと記憶する。
是非、総合科学技術会議を強化してほしい。その中で、これからイノベーションは重要視するということで、是非、民の、あるいは社会からの参加をさらに増やして頂きたい。

大切なのは、ものづくりの技術

木村文彦:ものづくり技術の研究をしている。そういう観点から、30年間のものづくりの現場を見ると、日本は強い。人材が欧米の現場と違う。2050年には人口推計で、働く人口が半分になる。そこで、大切なのは、ものづくりの技術者である。現場は頑張って人材育成をしているが足らない。日本の学術、教育体制で、大学院、博士の育成、これを組織的にやらないと間に合わない。

世界でナンバーワンの法制度作り

橋田忠明:民主党政権に非常に期待していたが、財源難のために公約と実行が乖離している。戦後の構造問題が一挙に表面化している。財源難なら、世界でナンバーワンの法制度作りを目指して欲しい。例えば、法人税、研究開発税制、設備投資減税、IT税制、原材料の調達、海外の貿易投資の税制、規制緩和の特区など、政策面における新しい創造的な改革だ。MOTの成果を活用できる。

海外に出て学ぶという意識が低い

齋藤潔(小林陽太郎富士ゼロックス元会長の代理):最近の子供たちが、海外の大学に行きたがらない。東大とか、京大とかの大学には行く意思を持っているが、ハーバードとかスタンフォードとかという大学に行きたがらない。日本から外に出ようとする意識が極めて低くなっていると感じている。この問題の解決に、政府も支援して頂きたい。

「世界特許」を作って頂きたい

荒井寿光:知的財産戦略2010と、日本の新しい方向を示す国際標準を実現するために、次に「世界特許」を作って頂きたい。同じ発明をして、技術開発しても、国ごとに取らなければならない。これでは国家が、国家の小さなエゴでできあがっている。政治家の力で是非、「世界特許」を作って頂ければ、世界中の研究者、技術者が協力しあい、素晴らしいことができる。

システム的に政策を立案する

安西祐一郎:「イノベーション国家」に変わる今、集団行動から自分で考えて、しかもシステム的に考えて“自分で行動できる人間”が、公共を作っていくという考えがこれからの日本には必要である。例えば科学技術政策と人材育成政策、全く分離して政策立案が行われている。融合して、システム的に政策を立てていかないとグローバルに通用する人材は育成できない。

写真 「成長戦略の柱は、科学技術の振興だ」と主張する鶴田氏(右)、隣は鳩山前首相(左)

写真 「新興国は政官民一体になって物事を進めており、新しい競争社会が世界に出来ている」と話す渡辺氏(左)、(右)は高津氏

写真 「原子力は、海外展開、非常に大事だと思っており、国内の足腰、若干弱ってきている」と話す石田寛人氏(右)、高津氏(中央)、渡辺氏(左)

写真
「人材とグローバル化と新しい事業モデル、ビジネスモデルの3つの課題に直面」と指摘する吉海氏

写真 「 10年やってきた失敗知識データベースは予算が打ち切られ、今度は個人でやらざるを得ない」と訴える畑村氏(左)、隣りは木村節氏(右)

写真 「知的財産戦略について、制度、方針づくりから実行することであると思う」と話す石田正泰氏(右)、隣りは木村節氏(左)

写真 「サービス・イノベーションは、実はサービスではなくて、製造業のイノベーションに重要である」と強調する小坂氏(右)、隣りは石田正泰氏(左)

写真 「国内は頭打ちだが、海外の資金需要が倍増している」と話る小野氏(左)、隣りは秋元氏(右)

写真 「日本の原子力技術は、諸外国に平和利用として貢献するとの方向性を国家の基本政策として打ち出して頂きたい」と語る安西氏

写真 「原子力が駄目だから原子力を辞めたのではない」と語る石田氏(右)、隣は安西氏(左)

写真 「日本が今強いのは科学技術である。自然科学、ものづくりで、日本は強い」と話す薬師寺氏(左)、隣りは小島氏(中央左)、國井氏(中央右)、河野氏(右)

写真 「日本は、女性の活躍できる場を作ることが非常に遅れている」と主張する國井氏(右)、隣りは小島氏(左)

写真 「私ども建設業界は、国際競争力を強化していく観点から、社会インフラ整備に不可欠な業界である 」と話す河野氏(右)、隣りは國井氏(左)

写真 「クラウドの時代、知財制度をもう一度見直して、日本がデータセンターを持てば、日本の産業もビジネスチャンスを持つ 」と話る加藤氏(右)、隣りは河野氏(左)

写真 「各企業が世界に出て行かなければならない。国内産業の維持に対して、もっと政府として配慮して頂きたい」と訴える岡田氏(右)、隣りは加藤氏(左)

写真 「日本の国の産業構造そのものが、世界に出ようとすると、バラバラ過ぎる」と実情を話す小菅氏(右)、隣りは中村氏(中央)、木村文彦氏(右)

写真 「大切なのは、ものづくりの技術者である。現場は頑張って人材育成をしているが足らない」と主張する木村文彦氏(中央)、隣りは中村氏(左)、橋田専務理事(右)

写真 「最近の子供たちは、海外の大学に行きたがらない。日本から外に出ようとする意識が低い」と訴える齋藤氏(右)、隣りは芳賀秘書(左)

写真 「政治家の力で是非、世界特許を作って頂ければ、世界中の研究者、技術者が協力しあい、素晴らしいことができる」と強調する荒井氏(左)、隣りは安西氏(中央)、有馬会長(右)

写真 「“自分で行動できる人間”が、公共を作っていくという考えがこれからの日本には必要である」と話る安西氏(左)、隣りは有馬会長(中央)、鳩山前首相(右)

「日本株式会社」、今こそ政・官・民一体で取り組む

鳩山由紀夫前首相:
大変貴重なご意見を頂いたこと、政府に対する、色々なご忠告から励ましまで賜り、心から感謝を申し上げたい。かつて「日本株式会社」と言われて世界に売り込みをかけた時代もあった。それが強烈であったものだからこそ世界から羨望の的になり、批判された。しかし、今、世界がやっていることは、当時の日本がやっていることを、政と官と民が一体となってやっている。それをもう一度、日本としてグローバル化の中でふさわしい形で作り上げることが大事だと思っている。そのための政治の役割は極めて重要であると思う。

今日、皆様方からのご提言を頂いたことを、言葉ではなく、実行する段階にあると思っている。今後とも実行する姿を、また背中を押して頂ければと思っている。貴重なご意見を頂きましたこと、改めて感謝を申し上げたい。

写真
「今日の皆様方のご提言は、言葉ではなく、実行する段階にある。今後とも実行する姿を、また背中を押して頂きたい」と最後に鳩山前首相(右から2番目)から感謝の言葉があった。


有馬朗人会長:鳩山総理の今後のご活躍をお祈りして、終わりたい。 ありがとうございました。

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