一般社団法人日本MOT振興協会

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第9回政策首脳懇談会を開催(2015年11月16日)

茂木敏充 自民党選挙対策委員長・前経済産業大臣
日本経済と国政の動向

当協会は、2015年11月16日(月)午前11時半〜午後1時、東京・内幸町の帝国ホテル本館『鶴の間』にて、第9回政策首脳懇談会を開催した。今回の来賓・講師は、茂木敏充自民党選挙対策委員長・衆議院議員で、演題は「日本経済と国政の動向」である。この日は、大阪市長選挙が大詰めに来ており、茂木委員長も急遽、緊急の応援のために大阪に行くことになり、当初の時間より大幅に短縮されたが、茂木委員長は、安全保障関連法の改正問題から再び焦点が日本経済に移行するとし、アベノミクスの成果を詳しく述べた上に、今年7月の参議院議員選挙をにらんで、マスコミ報道とネットメディアの構造変化を分析し、アベノミクスの第2ステージ入りと補正予算の見通し、「一億総活躍」社会の実現など、内幕の話も盛り込んで、的確に講演し、協会代表者との質疑応答と意見交換にも、出発の時間ギリギリまで対応した。


白井克彦会長(左)と講師の茂木敏充自民党選挙対策委員長(右)

茂木敏充自民党選挙対策委員長

皆さん、こんにちは。白井会長からご紹介頂いた衆議院議員の茂木です。せっかくお時間を頂いたので、戦後最長となったこの国会を振り返ると同時に日本経済の現状、アベノミクスの成果について話したい。そして、私の現在の役職である選挙対策委員長の1年の一番大きな仕事は、来年の参議院選に勝つということだが、それに向けての今自民党が何を考えているかの基本的な考え方、それを組み立てる上での報道やメディアの動向・特徴が極めて重要になってくるので、その点についても触れたい。

通常国会について

この国会は平和安全法制という印象があるかもしれないが、この国会では60年振りに農協法の改正も行った。そして、私が経済産業大臣時代から取り組んできた電力市場は、3.11以降日本が新たなエネルギーの逼迫状況に直面しているという中で、北海道から九州、沖縄まで地域独占の電力事業、市場と言うものを自由化し、発電部門と送配電部門を分離して競争を取り入れるという電気事業関連法の改正、3段階でやってきた。1段階、2段階は私の大臣時代にやり、この国会で最終になる、発送電の分離まで含めた第3弾の法案を成立している。まさに改革断行国会と呼ぶにふさわしい成果が上がった。ただ毎日テレビをつけると、少なくとも6月から9月ぐらいまでは国会は安保しかやってないのではないかという印象を持たれた方は多いと思われる。確かに審議時間が長かったのは確かである。この平和安全法制は衆議院で160時間、参議院でも100時間、審議を重ね、これが毎日のようにテレビ等で取り上げられ、紛糾している。5月までは比較的静かに審議は進んでいたが、6月4日にこの平和安全法制を審議するのとは全く別の憲法審査会を開き、参考人に憲法学者の方3人を招いた。すると自民党が呼んだ参考人までこの平和安全法制が違憲だということで、本当に合憲なのか違憲なのかという今までの議論とは違った方向に行ってしまい、戦争法案と言われたり、強行採決と言う印象が出来たりした。国会周辺で言うと、5月までは大体金曜日は反原発のデモがあったが、以降は反原発が押しやられ、SEALSとか若い人も含む法案反対のデモが連日のように行われた。デモが夜の10時過ぎまであると、それが報道ステーションにライブで映る。なかなかマスコミ対策がうまい。これが内閣支持率の低下に繋がったのは間違いない。しかし、ここにきて内閣支持率は上向き傾向である。
我々はもちろん戦争法案ではなく、今の中国の状況、北朝鮮の状況を考えても、日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応した法的な準備をきちんと進めていかなくてはならない、ということでこの法案を成立した。特段の変化は、安全保障環境が激変しない限りは起こらないわけであるから、恐らく国民の関心は低下していくだろう。

TPPについて

最近のもう一つ大きな関心事は10月に12カ国で大筋合意に至ったTPPは、恐らく21世紀の半ばにかけて一番の成長のセンターになってくる。12カ国で世界のGDPの4割近くを占めるこの地域で、自由貿易圏を作るということになると、工業製品だけではなく、例えばコンビニ等、色々な日本のモノづくりが海外に出て行き、アジアの成長を取り込む大きなチャンスになってくることは間違いない。工業製品で言うと、99.9%の関税が撤廃される。JETROでも全国にキャラバンを展開するという予定を組んでいる。大企業は当然自分の力でやるが、地域の中小企業を含め、海外に打って出るチャンスだから国としても様々なお手伝いをしたいということをアピールしていきたい。もちろん日本にとってもきちんと農業を守っていく、さらには強い農業を作っていくということは極めて重要であり、重要5品目を中心にしながら、いかに守り、いかに強い農業を作っていくか、11月の末までに総合対策をまとめることが出来ると思っている。コメについても政府が備蓄米として100万トンの買い上げを行っている。そして今回TPPで合意したSBSで入ってくるお米はMAXでも7万8千トンであるから、今政府が備蓄米で買い上げ、そして5年後に飼料米として放出するこの5年のサイクルを4年に縮めるだけでさらに20万トン買い上げる余裕が出てくる。米の市場の安定は十分に確保できると思っている。さらに牛肉、豚肉等の関税を一挙に下げるのではなく、おそらくTPPを発効するのは2年以上先ということになる。それから15年くらいかけて徐々に関税の方を引き下げていく。その間にもし海外からの輸入量が急増する場合は政府ガードによりいったん関税を引き上げることにより、国内の産業が過度のダメージを受けることを防ぎたい。いずれにせよ日本の農業は海外に打って出られるポテンシャルを持っており、そういった農業の強みを生かせるような対策を打っていきたい。GATT・ウルグアイ・ラウンドの時は6兆100億円の予算を使った。ただ残念ながらその6兆100億円が農家に回っておらず、半分くらいのお金は農業土木に使われてしまった。農業土木そのものをすべて否定するわけではないが、これからは農業の競争力強化や、農家の所得向上によって若い意欲のある人たちが農業に就労する環境を作りたい。若干説明に時間はかかるが、 TPPが日本にとっていい条約なのだと理解してもらえる環境が出来てくるのではないか。そうなるとやはり来年の関心事は経済ということになってくるのではないか。今中国の経済が減速していることは間違いない。コマツの建設機械、ブルドーザー、大型のダンプはすべてGPSを搭載しており、世界中でコマツのブルドーザーがどれだけ活動しているかという状況が一目で分かるようになっている。聞くと、中国での建設機械は余り動いていないという状況もある。単に輸出だけではなく、国内も厳しい状況にあるという中で、日本経済はどうなっていくのか、またそれに対してどういう対策を打っていくのかということが極めて重要だと思っている。

アベノミクスの成果について

アベノミクスの主要な成果を図2にまとめてある。景気を見る指標は色々あるが、大きく言えば世界どの国でも2つのことを見る。1つは、仕事が増えているか減っているか、雇用が増えているのか、減っているのか。そしてもうひとつは賃金や所得が増えているのか下がっているのか。この2つの指標で見た時にアベノミクスの成果は明らかなのではないか。ただ、地域によって景気回復の動きはまだらなのは間違いない。北陸はかなり良くなっている。北陸新幹線が3月に開通し、富山駅の乗降客は2倍ぐらいになり、新幹線がまだ通っていない福井まで良くなってきている。福井の有効求人倍率は1.5まで行き、東京に次いで第2位となった。一方で北海道、青森、鹿児島、沖縄は有効求人倍率が1を超えないという形であり、まだ日本全体で言うと完全に景気全体が本格回復してとは言えない。さらに外的要因での下振れリスクはあると思っている。それらを考えながら年末には補正予算を組むということになる。補正予算は正式に組むということを政府として発表はしていないが、少なくとも今月中にはそのことを発表する。財務省はその財源が無いと言うが、4兆円近い規模の補正は真水で組めるのではないかと思っている。ではこの補正をどうするのか。おそらくAパターン、Bパターン二つのパターンを用意して、世界経済、日本経済の足元の動きを最終的にチェックしながら、AかBか判断する。つまり、世界経済全体が減速をして、日本も相当マイナスな影響が及び、即効性のある対策をとっていかなければならないAパターンと、そこまで日本は悪くなっていない中で、おそらくTPPも含む、設備投資や研究開発等という、もう少し中長期的で今後の成長につながる分野に重点的な投資を行うというBパターンを用意しておき、Aでいくのか、Bでいくのか年末に判断するということになる。いずれにしても対策を打って、来年の前半の経済を上向きにして7月の参議院選に臨んでいくというのが基本的な考え方になる。

参議院選の焦点

過去の例から言うと、基本的には2つのことで勝負が決まる。1つは1人区である。例えば静岡の2人区では、2つ取ることは絶対にないが2つ落すことも絶対にない。千葉の3人区では、場合によっては2人取れるかもしれないが、ゼロということもない。それに対して1人区は1かゼロなのである。そしてこの1人区の数が、今回参議院の選挙制度改革によって32に増えた。この32の1人区で何勝何敗かで勝負は決まってくる。もうひとつ大きいのが比例の議席数、比例の得票である。しかもこの比例の票というのは直近の世論に極めて影響を受ける。98年、橋本政権は参議院選で敗れた。4月までは結構世論も良く、複数区に2人出したりなど、かなり積極的な対策をとったが、減税問題について総理の発言が変化する等、色んな問題があり、GW以降あれよあれよという間に支持率が落ちて参議院選惨敗ということになった。例えば、我々が野党だった2010年の参議院の時、自民党の支持率は20パーセントくらいであり、取れた比例の議席数は12だった。前回2013年、我々が政権に復帰して内閣支持率が五割、自民党の支持率が4割という状況で選挙に臨み、1.5倍の18まで増やすことが出来た。まさに内閣支持率や自民党の支持率によって比例の議席数が変わってくる。さらに言うと、衆議院の場合は295の小選挙区だから若干風の影響はあるものの、ちょっとした逆風でも勝てる。ところが参議院の場合は基本全県一区になるので、そんなに強固な後援会の組織を自前で持っているわけではない。ちょっと強い風が吹くと1人区でも倒れてしまうという危険性があるため、世論の動向もよく見極めていかなければいけない。それとも関連するのが、報道、メディアであり、特に最近はネットメディアが台頭しているのでこの特徴を見ることが必要である。マスコミの影響力で言うと、活字メディアに比べてテレビの影響力が依然として強いことは間違いない。

台頭するネットメディア

1日のテレビの視聴時間が平均170分に対し、インターネットの利用時間は全世代の平均でも半分近くの80分以上となっているのが現状である。さらに若い世代で、スマートフォン、ソーシャルメディアの利用率は9割を超える。30代でも8割を超えるという状況である。さらにネットメディアは社会現象だけではなく政治にまで影響を及ぼし始めたのが最近の特徴である。
その具体例としては、民主党政権の2009年、事業仕分けである。毎日ネットで中継されることで大変な注目を集めた。2010年の11月は、ある意味でテレビとネットメディアが逆転をした、エポック・メイキングな年だった。当時、小沢さん(民主党元代表)の政治資金問題について色々言われていたが、小沢さんは絶対にテレビに出ない。そういった中でニコニコ動画に生出演をすることで自分の政治資金の説明を一方的にしたわけである。また尖閣諸島沖の中国船の衝突事件でも海上保安庁の保安官が映像をユーチューブに投稿した。最近は民間の方が撮ったスマホの映像とか事故をテレビで使うことは結構増えてきているが、当時、テレビからするとネットの材料を使うなんてテレビのプライドが許せなかったはずである。ところがそれしかないからそのユーチューブの動画をテレビが使わざるを得ない、ということでテレビでも放送された。そういった意味でもエポック・メイキングなことだったと思っている。そして2012年の12月、我々が政権に復帰した解散総選挙が行われた。テレビや記者クラブ等々で各党首の討論会が開かれたが、ニコニコ動画のニコファーレでも党首討論会が開催され、実に140万人が視聴する形となった。どの政党を選ぶかという時にもネットの影響力は非常に大きくなった。大げさに言うと50年振りの変化だと思っている。50年振りというのは、2013年の参議院選からはネット選挙も解禁なっており、今政治の分野でもネットというのは必要不可欠なツールになってきている。その中でテレビのニュースで映し出されていることと、ネットで口コミをされていること、これをずっとトレンドで比較すると、傾向が一致している。ニュースで出てくるキーワード、ネット上の口コミをフォローしていくと、極めて連動していることが分かる。

「ニュースキーワード」と「ネット口コミ」の連動と変動

図5に具体例を示した。上のグラフ2つ、縦軸が報道のランキングで、横軸が時間の経過、バルーンの大きさが道量を表している。今年の4月、第4週は首相官邸の屋上にドローンが落ちていたことに報道が集中した。ところが5週目に総理が訪米すると、安倍総理の訪米、米国議会での演説一色になり、ドローンの報道は上位から完全に消えるということになる。この傾向はネット上の口コミの件数と全く同じである。図5の下の段の折れ線グラフに示したように4週目はドローン、5週目は安倍総理の訪米ということでテレビ報道と全く同じである。このようにテレビとネットのもうひとつの特徴は、移ろいやすいということである。1週間でドローンから訪米へと全く変わるように大体1週間や数日単位で主要な関心やテーマが上昇して消えていくことがメディアの特徴である。唯一の例外が今年の安保法案であり、比較的関心が高い状態で続いてきた。収まるかと思えば憲法審査会で違憲だというのが出たり、自民党の若手議員が不規則発言をするということで、何度もガソリン注入され、もう火は消せないという状態になった。7月16日、衆議院で法案が採決を強行。こういう形でずっと口コミも上がるという形になった。ただ、8月になっていったん、このトレンドが変わる。それが、総理の70年談話である。50年談話、60年談話は文字数にすると1300字である。それに対して70年談話は3000字を使って総理自らの言葉で国民に訴えかけるという形がネット上でも好評で、これによって内閣支持率が1回底を打った。ただ一度、9月19日の未明に参議院で採決があったため、もう一度安保法案が上がるが、何もしなくてもまた下がっていくという形で安保法案に対する関心は徐々に落ちていくだろう。もちろんこれから安保法案の必要性、実際にどういうことをやるのだという、なかなか難しい部分はある。丁寧に説明する努力は続けていかなければならないが、いずれにしても安保法案に対する混乱や、それに引きずられて内閣支持率が下がるという傾向は変わったので、本筋の経済に集中すべき時期に来ているのだと思う。

アベノミクス「第2ステージ」

「一億総活躍」社会とは、どういうことなのだろうと分かりにくい部分もあると思うが、各企業で、家庭で、地域で、それぞれの人がまだまだポテンシャルを持っており、こういうポテンシャルをさらに発揮できるような社会を作っていくということである。新しい3本の矢について図7にまとめた。1つが希望を見出す強い経済、2つ目に夢を紡ぐ子育て支援、3つ目に安心につながる社会保障である。
GDPを600兆円に持っていくことは無理だという人もいるかもしれない。ただ、日本の生産性や技術力がこれから全く上がらないという前提なら無理だが、日本の技術力はまだまだ大きなポテンシャルを持っている。そして我々が政権に復帰して2年で28兆円のGDPが増えてきているのであるから、おそらく設備投資も、これだけ企業が内部留保を抱えているという状況で設備を更新すれば、間違いなく生産性が上がり、省エネも進む。こういう理由で、600兆円という数字を達成することは決して不可能なことではなく、高過ぎる目標ではないと思っている。
人口減少社会の中で、どう出生率を上げていくかということも大切な問題である。希望出生率を1.8まで持っていくことは中々難しいだろうという人もいる。ただ、地方に行って感じるのだが、出生率が2に近い地方は結構多い。東京は1にいかないという状況である。例に小松製作所を挙げる。本社は東京の赤坂にあり、メインの工場は名前の通り石川県の小松にある。30歳以上の女性の家庭に出生率がどれくらいかというアンケートを取ると、東京は0.9である。やはり子育て環境、生活コストという問題やライフスタイルの問題もあるのかもしれない。一方で石川県の小松は倍以上の1.9まで上がる。生活コストが安く、子育ての環境が整っていると、産みたい人は2人目、3人目を産み育てることになってくる。地方に魅力ある雇用を作り、若い人たちが地方で暮らした方が豊かで、そこで子育てした方が楽しいと思えるような状況を作っていく方が大切なのではないだろうか。
これから年末に向けて、一億総活躍について具体策をまとめていく。おそらく本当の「一億総活躍」社会が大きな姿として見えるのは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの頃になるかもしれないが、アベノミクスの第1ステージ、三本の矢も即効性のあるような大胆な金融緩和があったから動き出したのだと思う。第2ステージについてもロケットエンジンを付けていくことが必要ではないかと思う。選挙を担当していると、どうやったら選挙に勝てるか色んな戦術はあるが、マジックはない。まともなことをまともにやるしかないのである。日本は外交・安全保障、経済、社会保障等、大きな課題に直面している。その課題について一つ一つ解決して前に進め、結果に出すしか方法はないと思っている。そういった方向で来年の参議院選に臨んでいきたいと考えている。

茂木敏充 自民党選挙対策委員長 略歴
昭和30年10月7日 栃木県足利市生まれ
昭和49年 栃木県立足利高校卒業
昭和53年 東京大学卒業
昭和53年〜55年 丸紅株式会社
昭和58年 米国ハーバード大学大学院修了(公共政策)
読売新聞社政治部記者
昭和58年〜平成3年 マッキンゼー社コンサルタント
平成5年7月 衆議院議員
平成11年10月 通商産業政務次官
平成14年10月 外務副大臣
平成15年9月 国務大臣(沖縄・北方、科学技術、IT担当)
平成17年4月 早稲田大学客員教授
平成19年9月 衆議院厚生労働委員長
平成20年8月 金融・行改担当大臣
平成21年9月 自民党栃木県連会長
平成21年10月 自民党幹事長代理
平成22年9月 自民党広報本部長
平成23年9月 自民党政務調査会長
平成24年12月 経済産業大臣
平成26年9月 選挙対策委員長
選挙歴
平成5年7月 第40回衆議院選挙に初立候補し、旧栃木2区でトップ当選を果たす
平成8年10月 第41回衆議院選挙で小選挙区栃木5区より2期目の当選
平成12年6月 第42回衆議院選挙で栃木5区より3期目の当選
平成15年11月 第43回衆議院選挙で栃木5区より4期目の当選
平成17年9月 第44回衆議院選挙で栃木5区より5期目の当選
平成21年8月 第45回衆議院選挙で栃木5区より6期目の当選
平成24年12月 第46回衆議院選挙で栃木5区より7期目の当選
平成26年12月 第47回衆議院選挙で栃木5区より8期目の連続当選

<質疑応答>
質問A

先ほど補正でAパターン、Bパターンと言われた。即効性のあるものと、長期的な教育研究開発のようなものがあるが、その辺のバランスのとり方はどういう感じで持っていくのがベストか。

茂木委員長

私はBパターン、つまり日本の本来的な成長力や強さを伸ばせる分野に出来るだけ重点的に予算をシフトできる方がベターであると考えている。ただ経済の状況によってはカンフル注剤を打たなければならない。決してベターな選択ではないと思っているが、かなり体が弱っているということならまずは体力を回復することをしなければいけない。しかしできたら体質強化に予算を使っていきたい。

質問B

質問というよりひとつお願いである。地方創生や新しい雇用を作る時にベンチャー企業が果たす役割が大きい。
2008年に経済産業省のエンジェル税制という、個人がベンチャー企業に投資したお金は、寄付金と同じように所得控除される優遇税制があり、それでベンチャー企業も起きているわけだが、なかなか多くの国会議員、大臣の方はエンジェル税制の話をせずに補助金を出す話をする。補助金を出すよりも、民間が資本金を出すのを支援して、雇用を作るということが大事だと思うので、ぜひ地方創生の時にエンジェル税制のことも話して頂きたい。

茂木委員長

それはこれから強調していきたい。アメリカはベンチャーの国のように思われているが、アメリカでもベンチャーがどんどん伸びてくるというのは80年代以降である。この20年、30年でかなり変わってきており、今は大企業になっているところも、30年前は会社すら出来ていなかったという所は多い。その比率はアメリカが極めて高いのに対し、日本はまだまだそこにはいっていない。アメリカも80年代の前半はコア・コンピタンス、集中と選択、そしてベンチャーの育成を中心に置いた。そのベンチャーを育成するためにはまず、ベンチャーキャピタルを優遇しないとなかなか資金的にもうまくいかないということであり、日本でも同じようなことをしっかりやっていきたい。さらには資金提供だけでなく、販路や色んなことに対する支援を進めていきたい。町の工場にはすごい技術がある。やはりこういうものに光を当てて、試作品開発のことについても国も支援をしていく、もちろん民間にもお金を出していくということも進められたらと思っている。

第9回政策首脳懇談会 出席者
来賓・講師 茂木 敏充  自民党選挙対策委員長、元経済産業大臣、衆議院議員
会長 白井 克彦  放送大学学園理事長兼早稲田大学学事顧問(前総長)
設立発起人代表 北城 恪太郎 日本IBM相談役、国際基督教大学理事長
柘殖 綾夫  科学技術国際交流センター会長
藤本 隆宏  東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長
(ゲスト)
日本MOT学会
鈴木 潤   副会長、政策研究大学院大学教授
井川 康夫  顧問(前会長)、北陸先端科学技術大学院大学副学長
諮問委員 木村 節   リビア国経済・社会開発基金顧問
玄場 公規  法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授
副会長 生駒 俊明  キャノン(株)特別顧問
松本 正義  住友電気工業(株)社長
(代理 田中 茂 同社 専務取締役)
専務理事兼事務局長 橋田忠明  日本経済新聞社・社友
理事 秋元 浩   知的財産戦略ネットワーク(株)代表取締役社長
石田 寛人  金沢学院大学名誉学長、本田財団理事長
榊原 定征  東レ(株)相談役最高顧問
(代理 前田 一郎 同社 総務・法務部門渉外企画室長・参事)
則久 芳行  三井住友建設(株)代表取締役会長
(代理 岩井 正文 同社 理事・建業本部次長)
三島 良直  東京工業大学学長
(代理 丸山 俊夫 同大学 理事・副学長)
水野 雄氏  (株)旭リサーチセンター常任相談役
宮津 純一郎 日本電信電話(株)(NTT)特別顧問
(代理 兵藤 守 同社 研究企画部門 R&D推進担当(技術渉外)担当部長)
学校会員 林 明夫   (株)開論塾代表取締役社長
鵜飼 裕之  名古屋工業大学学長
(代理 仁科 健 同大学 教授)
副委員長 石田 正泰  青山学院大学法学部特別招聘教授
事務局 田中 幸子  (一社)日本MOT振興協会事務局員
関 麻理奈  上智大学文学部史学科4年
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