荒井寿光委員長とグランストランド教授(スウェーデン)との対談
(平成22年5月13日)
(対談の全文〔PDF〕)
今回の世界同時不況を克服した次代の覇者を目指して、国際競争はかつてない激甚さを増しており、「知的財産戦略」の重要性がひときわ高まっている。欧州諸国を基盤に、MOT(技術経営)と知的財産問題の世界的な専門家であるスウェーデンのO・グランストランド・チャルマースエ科大学教授が本年5月に来日し、当協会の荒井寿光理事・知的財産委員会委員長と、日本の知的財産問題の現状と今後の国際協力の在り方などについて、詳細に話し合った。
対談の中で、グランストランド教授は、日本が先鞭をつけ、スウェーデンなど各国が導入している政府の「知的財産戦略本部」について、強い関心を示し、当事者だった荒井委員長が背景となる問題意識と実現に至る経緯について、綿密に説明した。また、荒井委員長は、今後の国際協力の在り方について、科学者や企業など包括的な取り組みの必要性と国際情報技術の重要性を指摘し、グランストランド教授も賛意を表明し、インターネットなどを活用した有志による新たな知的財産戦略の国際機関を設けるべきだとの認識で一致した。
荒井委員長、「歴史は農業社会から工業社会へと変貌を遂げ、これからは、知識社会へと向かう。
知的財産は国家全体の文化生活や文化の発展に貢献するもので、・・・」という。
グランストランド教授、「中国やアメリカは、知識と天然資源という強力な組み合わせに基づいた経済へと移行する。日本は知識源が豊富でも、天然資源が不足している」という。
グランストランド教授は約1カ月かけて、中国、韓国、日本、米国、欧州諸国を訪問し、現在のMOTと知的財産の状況と展望について調査研究をして報告書をまとめる。今回の対談は、世界と日本の知的財産問題を考える上で、非常に示唆的な内容になっており、日本が先導的な立場を取ることの重要性を明確に示している。
和やかな雰囲気で会談を終えた。「沢山の興味ある情報を収集できた」とホルガーソン研究員(右)からメールが来た。 左はグランストランド教授。
橋田忠明専務理事(左)
荒井委員長(中左)
グランストランド教授(中右)
ホルガーソン研究員(右)
【来訪者】 グランストランド教授
Prof. Ove Granstrand
Professor of Industrial Management and Economics
CIP - Center for Intellectual Property Studies
Chalmers University of Technology, Sweden
EDUCATION
Ph.D., Industrial Management and Economics,
Chalmers University of Technology, 1979
M.Sc., Stanford University
(Operations Research, 1972)
MBA, Graduate School of Business in Gothenburg
(Excellent with Distinction in Business Economics 1971)
M.Sc., Chalmers University of Technology
(Mechanical Engineering 1969)
【協会代表】 荒井 寿光 氏
当協会理事・知的財産委員会委員長
(東京中小企業投資育成 社長)
学歴:
1966 東京大学法学部卒
1973 Master of Public administration ,
Harvard University, USA
Master of arts and science(economics) ,
Harvard University, USA
職歴:
1966 : 通産省(現経済産業省)入省
1996-98 : 特許庁長官
2001 : (独)日本貿易保険理事長
2003-06 : 内閣官房知的財産戦略推進事務局長
2007 :東京中小企業投資育成 社長