第1回 サービス・イノべーション研究委員会(平成21年9月4日)
平成21年9月4日午後6時、東京都千代田区の東京国際フォーラムガラス棟G50において第1回サービス・イノベーション研究委員会を開催した。冒頭、橋田忠明専務理事から、協会設立の経緯と、研究委員会新設の意義と協会事業の中で最重要事項のひとつであるとの説明の後、委員長、副委員長、幹事の選任を行い、委員長に角忠夫松陰大学大学院教授、副委員長に小坂満隆北陸先端科学技術大学院大学教授、幹事に小平和一朗当協会事務局長を選任した。
角委員長(中央)「製造業におけるサービス・イノベーションを正攻法で推進したい」と報告。右隣りは小坂副委員長。
角委員長は運営方針について、「サービスの重要性は、長年考えていた重要なテーマである。21世紀に入りサービス・イノベーション、サービスの生産性などを産官学で議論してきた。製造業においてもサービス・イノベーションをもっと正攻法で推進する必要性があるのではないかと考えている。
本委員会は主として理事会社を中心に、この分野の学識経験者その他、非常に大事な方々がお集り頂いている。主として製造業を中心としたサービス・イノベーションということに焦点を当てて、取り組みたい。委員の中には、製造業ではなく、主としてサービスを本業としている会社も参加しているが、サービス先進国の立場から色々ご指導を頂きたい。
第2次産業の製造業を中心として、第3次産業との産業セクター間の交流促進というのが、サービスというものがキーとなって、推進されていく。そういう面でもこの研究委員会で、主として製造業を中心としたサービス・イノベーションに焦点を当てて取り組みたい」と挨拶した。
東京大学の研究状況を報告するアドバイザーの飯山教授(左)。
右は中島委員(富士ゼロックス)。
小坂(北陸先端科学技術大学院大学) 副委員長を務める小坂で、31年間日立製作所に勤務し、新規事業の研究などに取り組んできた。北陸先端科学技術大学院大学に移り、亀岡先生がお亡くなりになった後のサービス経営コースを文部科学省のプロジェクトとして立ち上げている。
飯山(東京大学) NECでサービス業を担当していた。縁があって東京大学でサービス研究をしている。本委員会にオブサーバーで参加しているのは、東大ではサービス・イノベーション研究会を開催している立場で混同してはまずいと思い、オブサーバーという位置付けで参加することにした。
中島(富士ゼロックス) 秘書室におり、今日は角先生や皆様の議論を伺って、当社からの最適なメンバーを選任したいと考えている。
左から、中島委員、三村委員、北谷委員、福田委員、大鐘委員
三村(キッコーマン) 私も中島さんと同様、秘書室におり、委員を選任できていない。今日の皆さんのお話を伺い、社内各部門の中からこの委員会に適した人を選びたい。
北谷(小松製作所) 一般建機、工作機械などを世界中に販売している。こういう時勢になると機材が売れない。アフターマーケットで儲けるようにと言われていて、その辺で皆様からお聞きして参考にしたい。
福田委員(左)「サービス業をデザインする」と報告。中央は大鐘委員、右が古橋委員。
福田(山武) 製造業でモノを作っている会社で、最近は省エネが地球温暖化に貢献できること、環境にも良いということで、取り組んでいる。サービスをコアの仕事に変えていくことに努力している。
大鐘(三井住友建設) 建物のライフサイクルは長く、作ったら10年〜30年の間、お客様との接点は全くない状態となる。お客様と接する機会を設けながら、リフォームでサービスビジネスの仕組みを構築しなければいけない。皆様の事業を勉強したい。
古橋(JR東海) 当社はサービス業である。委員会への参加について、最初は戸惑ったが、サービスを学びたいと考えている。安全・安定運転の維持の確保にサービス向上の使命があり、色々と勉強させて頂こうと考えている。
平井委員(左から2番目)「サービスをどう作り出すかの研究に取り組んでいる」と報告。多和田委員(左)、右から柳原委員、高林委員。
平井(日立製作所) ビジネス・イノベーションの研究開発に取り組んでいる。新しい事業とかサービスをどう作り出すかということを研究している。研究所にいて実業はやっていないので、この場を借りて勉強したい。
高林(東レ) 弊社の営業は、マーケティングとセールスが一体となっている。サービス・イノベーションなる言葉が自分の腑に落ちない。「何をするのかな」と自分の頭に疑問として残っているが、この委員会で解決したい。
「工作機の稼動は収益に直結、迅速な顧客対応がサービスの基本」と説明する柳原委員(左)、右は等々力委員。
柳原(森精機製作所)工作機械を製造している。顧客にとって工作機械の稼動は収益に直結するということで、機械が止まると電話がかかって来る。サービスでは、つながる。サービス・イノベーションを勉強したい。
等々力(日産自動車) 電気自動車になると、新たなサービスを考えなければならない。具体的にはこれからである。3年前に社会研究を始めた。サービスという意味では素人だが、社会研究の立場から次に何を起こすべきか、何をやるべきかを検討している。
多田(日経BP社)編集を担当している。日本は、品質は高いが生産性が低い。その理由は今まで日本は製造業の生産性を高めるために社会制度を作ってきたからだ。リゾートの利用は休日に集中してしまう。世の中の仕組みを変えない限り、生産性の向上は難しい。 「経営とIT新潮流」というサイトの編集長をしている。そのサイトで、「サービス・イノベーション推進委員会」というコラムを今年の3月からスタートさせた。大学の先生とかがリレー原稿を毎週掲載している。サービス・イノベーションの事例を読むことができる。
谷口委員(右)は「サービス・イノベーションは重要なテーマ」と報告する。左隣りは多田委員。
多和田(リコーITソリューションズ) 7月1日にリコーIT関連グループが弊社に集合した。複写機がネットワークにつながり、単体だけでは売れない。ITは販売会社だけで対応ができないので、そのための体制作りをした。
谷口(産業総合研究所) モノづくりや材料系の研究が強い。サービスについては、小規模だがサービス工学研究所を立ち上げている。2年間、経済産業省のサービス政策課に出向していた。サービス・イノベーションは重要なテーマなので、気持ちを新たにして、勉強を続けたい。
「MOTは日本が世界をリードするためには欠かせない重要な分野だ」と話す橋田専務理事
小平(幹事) サービス・イノベーション研究に力を入れて、まだ未知数なところが多いので、考え方として仕事に役立つような委員会活動にしたい。幹事として、皆様に役立つことが出来ればと考えている。
橋田(専務理事) MOTは日本が世界をリードするためには欠かせない重要な分野で、新しい価値を創造するということで当協会が発足した。世界の中で生きていくには、MOT の今後の展開にかかっていて、サービス・イノベーションはその大きな突破口だ。