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コラム:知財革命のすすめ   −知財の国際競争を勝ち抜く−

【第6回】 高まる国際標準の重要性

● WTOによる義務

 グローバルな経済活動を妨げる国境の壁が低くなり、市場が世界単一化しつつある中で、いかに優れた製品を作ろうとも、その製品が国際標準に合致していなければ、あるいは国際標準そのものでなければ、市場を獲得できない時代になった。
 1995年に発足したWTO(世界貿易機関)のTBT(貿易の技術的障害に関する協定)では、国際標準を国内標準の基礎として用いることが義務付けられた。また先端技術分野を中心に、特許権を含む国際標準が増加している。
 こうして「標準化」の意義は著しく変容し、互換性を確保したり最低限の品質を保証するといった旧来の意義を超えて、企業が事業戦略を構築する上で重要不可欠な要素となった。


● 国際標準の種類

 標準とは、モノの大きさや形、品質などのルールを作ること。
 標準にもいくつかの種類がある。
 第1は、ISOや電気関連(IEC)、通信関連(ITU)など、法的な機関で明文化された「デジュール標準」、第2は、関心ある企業が集まって結成されたフォーラムを中心に作成されている「フォーラム標準」、第3は、コンピュータのOSのような事実上の世界標準となっている「デファクト標準」がある。
 これらの標準化により、互換性、相互接続性が生まれる。
 品質、安全性、試験・評価方法などを含め、技術が優れているだけでは、マーケットシェアは獲得できない。特許を取得するだけでなく、標準まで制して初めて国際競争に勝てる。


● “標準を制する者が市場を制する!”

 日本は「技術で勝ってビジネスで負ける」悲しい現実がある。
 日本のメーカーは、世界で一番性能の良い携帯電話を売っているが、世界市場におけるシェアは小さい。他のエレクトロニクス製品もシェアが急速に下がり、韓国・タイ企業に負けている。
 自動車産業は国際化しており、電気自動車の標準化争いが激化している。バッテリーへの充電方式をめぐり、日本方式とドイツのダイムラー方式が激しく争っている。日本では自動車各社と東京電力が、チャデモ協議会を設立し標準化を進めている。



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