第3回 「女性の活躍舞台づくり」委員会報告
平成23年7月21日、學士會館(東京・千代田区)にて、第3回の委員会を開催した。当日の議題は、(1)副委員長の選任、(2)「企業の持続的経営とダイバーシティ・マネジメント」(キャリアネットワーク代表取締役 河野真理子)、(3)「女性技術者の活躍に向けて」(金沢工業大学大学院客員教授 守屋朋子)、(4)その他・・・などである。
守屋朋子氏に、「女性の活躍舞台づくり」委員会の副委員長就任をお願いしたいとの提案が國井委員長からあり、参加者全員の賛同を得られたので決定した。
左から河野委員、國井委員長、橋田専務理事、植田主任研究員、
その右の手前は守屋副委員長、堀井委員、麓委員と続く。
河野氏から「企業の持続的経営とダイバーシティ・マネジメント」と題する、守屋氏から「女性技術者の活躍に向けて」と題する講演を聞いて、委員相互間での意見交換をした。
出された主な意見は、以下の通りである。
(1)少子高齢化の日本は、どこかで質的に変えていかなければ、世界でやっていけない。日本全体で、生き残りをかけて女性の活用をやる必要がある。
(2)ネットで見ると、女性の内定率が下がっている。グローバル展開が進み、女性を海外に赴任させることへのためらいがあり、女性を一般職で採用しない傾向にある。
(3)厳しい時期だからこそ、ダイバーシティという多様性が求められる。
(4)アメリカを見た人が、ダイバーシティ推進に理解を持っている。半面、ダイバーシティというと人種と理解する向きもあり、反感を持っている人もいる。
(5)日本の社会が海外から遅れている。女性の活躍推進というと、国の問題である。
(6)国連からも指摘されているが、日本は遅れている。1企業だけでは難しく、MOTとか、業界団体で取り組んでいるが、それだけでも進んでいかない。
(7)子供の出産をはじめ会社がてんこ盛りで、それを権利と思う人が多くなってきた。社会的な制度として、会社がそんなことをしなくても、豊富な労働力があったほうがよい。
(8)イノベーションで技術が重要との話はあるが、研究者の話しかない。人材育成の技術者の受け入れ先がない。研究者は文部科学省で扱っているが、技術者を扱う省庁がない。
(1)企業の立場では、ダイバーシティを進めるのが目的ではなく、企業の業績を向上させるのがミッションである。
(2)企業の持続的経営と、事業の継続が大きなテーマ、キーワードがイノベーション。
(3)サービス、商品、業務のイノベーションが起こらなければならない。技術イノベーションも重要だが、組織のイノベーションが重要である。
(4)イノベーションといっても、同時に生産性向上の問題もある。生産性の向上と、新しい価値の創造が課題である。
(5)ダイバーシティは、人的資源の活用という点で重要。
(6)女性は、早く退職してしまう率が高い。もったいない。
(7)女性登用比率の高い会社が、良い会社であると言える。
(1)色々な企業のダイバーシティ推進部署の方と話をすると、超トップの方はマクロなこととして理解を示すが、役員とか中間管理職の人は理解してくれない。
(2)教育という切り口や、しつけという切り口で話をするのが良い。企業の役員の3分の1は、ダイバーシティを推進することが好きではない。やる必要性を感じていない。
(3)現場の部課長クラスは、4半期で利益評価がされるので、短期で動いている。
(4)採用では、女性でなく、男性を採ってきた。プロジェクトのリーダーを選ぶ時にも、リスクを避けたいという気持ちがあり、男性を選ぶ傾向がある。
(5)女性社員本人がすべきことは、
1)キャリア開発と、
2)キャリアの継続
の2点。
(1)今までは、女性がいなくても回っていたから、何もする必要がなかった。今は、女性がいなくては回らなくなってきた。回らなくなり、ダイバーシティに取り組んでいる。
(2)日本が弱いのは、同一労働、同一賃金になっていないこと。女性の活躍をうまくやっているという会社が、安く、非常勤で女性を使っている。それを理想的かというと、違うと思う。
ベースとして同じ成果を上げ、同一労働、同一賃金とすれば、短時間勤務をしようと、在宅勤務をしようと、成果の評価ができる。この原則がないと難しい。
(3)ジャンプ・アップした企業、第一生命、日立製作所、少し前までは男性社会で、なぜジャンプ・アップできたのかをヒヤリングしたところ、仕組みであった。
ダイバーシティ項目を評価項目とすると、評価が落ちるので女性を探す。人事制度に原因がある。
(4)中間層が女性に対して期待をしていないから、今のようなことになる。「中間層に女性に期待しろ」といっても、中間層は、動かない。成果の中に女性をどれだけ活躍させているかをいうような、ノルマがないと動かない。
(1)経営幹部にお願いしたいのは、
1)部門や職種ごとに異なる期待像を具現化する、
2)ロールモデルはバリエーションを多く、複数つくる、
3)管理職をサポートする、
4)女性社員のメンター的存在になる、
5)将来への期待を伝え、個別に具体的な助言をする。
(2)ダイバーシティ・マネジメントとは、最終的には、イノベーションを起こすこと。目標は生産性を高めることにある。
そのために必要なものは、
1)部下を見極める力、
2)公私にわたる信頼性(人間関係構築力)、
3)コミュニケーション力など。
(3)今の制度を充実させて、もっと多様に取れるようにし、女性だけしか取らないという状況を無くす。休業中に情報を与える。情報さえあればキープアップできる。
(4)経験から育つものもある。入社した時同じであるので、経験が足りないだけである。長く使おうとしたら、どのような経験をしなければならないか。キャリアプランを作ることだ。
(5)ポジティブ・アクションとして5つの取り組みがある。
1)女性の採用拡大、
2)女性の職域拡大、
3)女性の管理職の増加、
4)女性の勤続年数の伸長、
5)職場環境、風土の改善。
(1)一般職の人で、甘える人達も出てくる。そういう人達も抱えているから一緒にできない。長く続けている人達との扱いを考えなくてはならない。実績をどう評価するかだ。
(2)育児休業が女性であるというのは、日本の特徴である。男性がやるというバランスができてくると、同一労働、同一賃金で、休めば当然業務の効率も下がるから、最終的には企業に反映できる。そこの指導をすれば、フィードバックが掛かる。
(3)キャリア開発の支援など、管理職のダイバーシティ・マネジメントが重要になる。
(1)グローバル化で、外国人雇用の問題など、経営戦略としてのダイバーシティがある。
(2)ダイバーシティを進めると、メンタルで休む人が何10%と減った、残業時間が減った。1社ではなく、何社かのデーターが取れないか。データー集を出したらどうか。
(3)モノを作れば良いという価値観でやっては駄目で、攻めに出るには、多様性、色々な考え方を持つ人の考え方を集めて、「1+1を2以上にする」ということ。
(4)安西先生(慶応義塾前塾長)を講師に招いて、意見交換をする。
(5)CEOの意識を変えるシンポジウムを企画する。