一般社団法人日本MOT振興協会

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「女性の活躍舞台づくり」委員会

第4回 「女性の活躍舞台づくり」委員会報告

 平成23年9月27日、日本記者クラブ小会議室(東京・千代田区)にて開催した。
 当日の議題は、(1)「女性の活躍舞台作りに向けた −MOTの立場から−」と題する講演を國井委員長から、(2)年1回のシンポジウム開催について、(3)その他・・・などであった。

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第4回「女性の活躍舞台づくり」委員会で「早急に変革をするのであれば、
クオーター制を導入すべき」と説明する國井委員長。

■第4回 「女性の活躍舞台づくり」委員会での主な意見

 國井委員長から「女性の活躍舞台作りに向けて −MOTの立場から−」と題する講演を聞いて、委員相互間での意見交換を行った。
 出された主な意見は、以下の通りである。

1.女性活用のレベル

(1)経済界は人材不足への対応という。日本には埋もれている人材がある。
(2)多様性のメリットをにらみ、それぞれの段階での施策が必要になる。
(3)少子高齢化といっても、女性を活用しない限り、半分が働いていないのだから、日本には沢山人材が埋もれている。

2.変革に向けて

(1)「差別なんかしていません」という男性に対して、啓発活動が必要だと考えている。理解のある変革型の経営者を育成していかないといけない。
(2)女性側の課題として、女性を見ると、分野によっては甘やかされている。これをどううまく変革していくかが課題である。
(3)家庭の中での変革も、女性は意識する必要がある。外と家庭の中では異なる。家庭に対する教育も必要だと考える。意識改革は企業だけでは出来ない。
(4)会社と家庭で考えが切り替わる。会社の中では平等でも、家庭に戻ったら違うと考えている。10年待ってくれと言われているが、それでは間に合わない。家庭における平等議論もしないといけない。
(5)変革の仕方に、北欧式と米国式がある。北欧は、社会制度を取るとか、クオーター制を取るとかで、きっちりやっていく。米国は遅れているが、経済インフラがきちんとできていて、働きたい人には、リーズナブルな価格で対応できる。日本と比較すると、進んでいる。両者とも、メリット、デメリットがあるが、考えていかなければならない課題である。

3.ポジティブ・アクション

(1)「女性を優先して採用する」と書いたら、労働基準監督署から不適切と指導されたという話がある。労働基準監督署が、ポジティブ・アクションを理解していない。彼らがむしろ指導すべきであると考えている。
(2)男性の管理職から、女性を優遇するとか、女性を集めたりすると、女性から「差別だ」と言われるという。特別扱いされるのは、嫌だという気持ちが女性の側にある
(3)ポジティブ・アクションは、是正するための暫定処置と理解して欲しい。女性の管理職が少ないので、女性の管理職を増やそうという研修では、データで現状を説明し、ポジティブ・アクションをきちんと説明しなければならない。
(4)例えば大学で多いのだが、女性の研究者を増やそうとすると、女性から反対される。
(5)クオーター制を日本では設けることが出来ていない。早急に変革するのであればクオーター制を導入すべきだと考えている。

4.トップ層をいかに変えるか

(1)経営のトップ層の中から、変革をしてくれる人を見つける必要がある。成功事例と他との比較を示すことが必要である。遅れてはまずいと経営者が思うように意識改革をしたい。
(2)他との比較では、データで示すことが必要である。現在の経営者の多くは、女性がどれほど辞めているか、女性の管理職が何%か、育児休暇を取った人が辞めているか継続しているかのデータをつかんでいない。
(3)MOTとして、表彰制度を作ってもよい。変革のために貢献した人をMOTが表彰する。カタリストというアメリカのNPOが「カタリスト・アワード」と言うのがある。80年代から表彰をしている。第1回の受賞企業は、エイボンが表彰された。
(4)東洋経済のダイバーシティ経営表彰は、ダイバーシティの分野の中に女性管理職がある。来年あたりから、グローバル人材が入ってくる。女性だけでなく、外国人を使えるようになる必要があるという議論があるが、異なる価値観をどう受け入れるかという問題がある。
(5)日本は、グローバルでも遅れているが、それ以上に女性差別という観点で非常に遅れている。
 それにフォーカスする時に、ジェンダーと言わないと、非常にあいまいになる。少子高齢化の対応策では、グローバルというより、まず女性の活躍推進が重要である。
 グローバルというと曖昧になるので、経営者には受け入れやすいが、グローバルでは、女性の活躍が見えなくなる。
(6)北欧や米国では、差別として取って変革してきた。どういうトーンでやるべきかが大切である。
 経済の観点では、本質に迫らない。切り込まないと改革がスローになる。
(7)定性的で無く、定量的に把握しておく必要がある。入社時に女性が何人いて、入社後何人残っているというデータが必要になる。MOT独自でデータを取るのは難しいと思われるので、しかるべきところに定点観測をして欲しいとかの提言も重要だと思う。
(8)入社時は女性が優秀なのに、40代になると能力が落ちてくるのはなぜか。調査する必要がある。女性の能力が落ちる。原因を知りたい。
(9)政治も動かす必要がある。
(10)理系の人がリーダーシップをとる。MOTの企業、メンバーは引っ張っていきやすい。日本は製造業で成立っている国だから、MOTが日本を引っ張るミッションがある。
(11)製造業もサービスにシフトしている。トータルシステムとして、研究をしなければならない。人材の多様性が必要になっている。


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